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台峯歩きをしながら、フクシマを思う。 [台峯を歩く]

大震災後から初めての台峯歩きです。この時期、田んぼではカエルが鳴いているだろうと思いながら参加しました。
思った通りで第一の田んぼでは盛んに鳴いていました。今の季節鳴いているのはシュレーゲル・アオ蛙です。コロコロッと澄んだ声でなく可愛らしいアオガエル。そして思いました、福島県川内村のモリアオガエルは、どうしているだろう…と。

川内村は、福島原発20キロ圏内に入っている村です。
この村に、30年ほども前になりますが、私は友人に誘われて訪れたことがあります。
何もないけれど豊かな自然だけはたっぷりあると言われた通り、広々とした阿武隈高原に降り注ぐ爽やかな光と清らかな渓流や豊かな海をわたる風、そこでの自然の恵みに満ちた村でした。
その村の沼(平伏沼)には、国の天然記念物に指定されている、モリアオガエルが生息しています。
その生息地としてはもう一つだけあって、それは岩手県の八幡平大場沼だということです。

その時、その沼には時期ではないこともあって行きませんでしたが、村にある「天山文庫」には訪れました。ご存知のようにこれは蛙の詩人(と名付けられるのはお嫌かもしれませんが)草野心平さんの文庫を中心に村人たちの協力で建てられた記念館風の文化施設です。
しかし今、そこには放射能が降り注ぎ、警戒区域になってしまいました。天山文庫も無人です。
その自然に恵まれた故郷に、村人たちは何時帰ることができるでのしょうか?

モリアオガエルは、どうしているだろう、とジュレーゲル蛙の盛んな鳴き声を聞きながら思いました。何とかこの田んぼは、田植えはまだのようですが今年も生き残れそうです。
でも米どころである東北地方は大津波に襲われ塩害で、多くの田んぼが耕せなくなってしまいました。そうでない場合でも、フクシマのように放射能汚染によって稲を植えることができず(稲だけでなくすべての農作物を)むざむざと放棄して立ち去るしかない事態の無念さを思うと、見ているだけの私でさえ胸がかきむしられる思いがします。

この日の夜、ETV特集で「放射能汚染地図」という番組を見ました。
またこの日、一号機が実は最初からメルトダウンしていたということが初めて公開されました。
そして他の号機でも、油断がならないというような、深刻な状態になっていることも、初めて私たちは知らされました。
TVの番組は、チェルノブイリや東海事故などこれまでの原発事故の調査団として携わってきた科学者二人を中心に、NHKの記者やカメラマンとともに事故発生当日から計数器を持って(これも独自に開発された測定器なども持って)車で各地を走りながら数値を観測したものを中心に構成されたものです。しかし現役の科学者は、属している機関から「自主的な動きはしないように」と釘を刺されているとのことだが、若い方の科学者はまだ幼い子供がいて、そんな子供たちのためにも正確な数値、記録をきちんと残しておいてやりたいという、それが動機でそのため辞職して、独自に調査を始めたのだということである。その分析は、広島・長崎その他の科学者のネットワークによる協力によってなされ、そのこれまでの2か月の経過を追いかけていると、時にはチェルノブイリを上回るホットスポットがあったり、予想を上回る数値であったりで深刻、政府の公式発表がいかに事態に追い付かず片手落ちで住民たちを苦しめているかが察せられ早い収束などありえない気がして気が滅入ります。

シベリヤから帰ってから50年、数羽から始めて3万羽にまで増やした鶏をすべて餓死させねばならくなった養鶏場主、射能汚染下に留まりながら母馬を無事出産させてやりながら仔馬を含めた競走馬をすべて手放さねばならない牧場主、また受け継ぐことになる広い田圃でコメを作ることと将来の夢としていたが今や農業を続けることさえできなくなった若者など、これまでの成果やこれからの夢をすべて根こそぎ崩壊させてしまう原発事故。これは氷山の一角で、一人一人それぞれがこれに似た運命に遭遇しているということ。これが天災ではなく人災だということに悲しみと怒りがこみあげてきて、台峯歩きで疲れていたのになかなか寝付かれませんでした。
というわけで肝心の台峯歩きの話が脇道にそれてしまいました。続きを書くかもしれません。
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